高齢者は加齢とともに膝の関節が痛み、階段の上り下りや長時間の歩行がつらくなります。その膝痛の主な原因は「変形性膝関節症」。痛みは一気に現れず、何年にもわたって少しずつ進行していくのが特徴です。
また痛いからと外出や運動をせずにいると、膝を支える筋肉が衰えて、どんどん痛みが強くなる悪循環に陥るので、今回の記事を見てしっかりと対策をおこないましょう。
変形性膝関節症とは
加齢や筋肉量の低下、体重の増加によって膝の関節軟骨がすり減って、痛みが生じる病気です。
主な症状
- 膝が痛い
- 水が溜まる
- 関節が腫れる
関節軟骨がすり減ると、滑膜(かつまく)が刺激されて関節炎を起こし、熱を持ったり、腫れたりして、痛みを引き起こします。膝が腫れるのは、滑膜から関節液が過剰に分泌されて膝にたまるためです。俗に言う「膝に水がたまった」状態ですね。
関節の炎症がおさまっても、関節包は以前より硬くなってしまいます。関節包は膝の動きと連動して伸び縮みしているので、硬くなってしまうと、関節の動きが悪くなり、膝が痛むようになります。膝の痛みをかばって生活していると、膝周囲の筋肉や腱も縮んで硬くなり、新たな痛みが現れてしまいます。症状が進むと、膝の動きは制限され、膝が完全に伸びなくなり、脚変形が生じます。
特に女性でO脚の方が変形性膝関節症になりやすいようです。
変形生膝関節症の進行について
初期
膝に違和感がある程度から始まり、最初の数歩だけ痛いことが多い。しばらくすると治ることが多いので、整形外科に行かず、放置してしまいがち。
- 立ち上がりに違和感や痛みを感じる。
- 歩きはじめに違和感や痛みを感じる。
- 階段の上り、下りで違和感や痛みを感じる。
- 長い距離を歩くと痛むが、休めば痛みがとれる。
- 正座がしづらい。
- 胡座(あぐら)がかきにくい。
中期
歩いている間、ずっと痛みを感じるようになり、膝が腫れたり、水が溜まるといった症状が出始める。歩くことが苦痛になるため外出や運動を避けるようになる。
- 歩くと膝が痛む
- 階段の昇降が困難
- 膝の曲げ伸ばしが困難
- 正座ができない
- 動作が不自由
- 膝が腫れる
- 膝に水が溜まる
末期
歩行が困難になり、杖や車椅子を使用した生活になる。痛みが強いので、這いずって移動するようになる場合もあります。
- 歩行が困難
- 安静にしていても膝が痛む
- 極端に足が変形する(O脚、X脚)
- 膝がピンと伸びない
- 日常生活が不自由
- 手術を要検討
- 軽い
膝痛の予防・負担軽減・治療方法
予防
- 適正な体重をキープする体重が増えると、膝への負担が大きくなります。
- ふとももの前の筋肉「大腿四頭筋」を鍛える大腿四頭筋は膝にとって重要な筋肉。膝関節にかかる負担を軽減してくれます。
- 運動はやりすぎない負荷の高い運動や、長時間の運動は膝に負担がかかります。
- 温水プールで鍛える膝を冷やさず、浮力があるので膝に負担をかけず歩くことができ、効果的な筋力トレーニングができます。
- 足を組まないようにする、片方の足だけに体重をかけない関節や筋肉を左右バランス良く使って、体への負担を減らしましょう。
- 洋式トイレを使用する和式トイレを使うと、膝に負担がかかります。洋式トイレを使いましょう。
- 正座ではなく、椅子を使うようにする正座やあぐらは、膝に負担がかかります。椅子に座るようにしましょう。
負担軽減
- 静かに歩くドスドスと歩くと、ひざに負担がかかるので、静かに歩くことを意識してください。
- 長い時間歩かない歩くことは膝を強くしますが、痛いのを我慢して歩き過ぎるのはNG。逆効果です。
- 手すりを利用する手すりを使って体を支え、ひざへの負担を減らしましょう。
- 杖を使う杖をつくと膝の負担が軽減します。
- サポーターを使う膝を支えて負担を軽減します。また保温機能もあるので、痛みが和らぎます。
- 膝を冷やさないようにする膝が冷えると血流が滞り、筋肉が硬くなるので、膝関節の動きが悪くなって、膝への負担が大きくなります。冷やさないようにしましょう。
- 入浴する筋肉を温めると血液の流れが良くなり、筋肉をほぐし、関節の痛みをやわらげる効果があります。※関節が腫れたり、熱を持っているときは、長時間の入浴はさけてください。
治療
- 軽症の場合は膝の体操をする体重をかけずに筋肉を強くするのがポイント。体を温めてから行うと効果的です。
- 痛みがあり腫れているときは冷やす氷をアイスバッグやビニール袋に入れて、15~30分患部を冷やしましょう。
痛みを抑え、細胞の代謝を下げて、膝痛の悪化を防ぎます。 - 慢性的な痛みは温めるお風呂に入って、ゆっくり曲げたり伸ばしたりして血行を良くしてください。
老廃物が取れ、膝がほぐれ、動きがスムーズになり、痛みがやわらぎます。 - 強い痛みや炎症がある時は、消炎鎮痛剤を使用する高齢者は持病の薬を服用していることが多いので、内服薬の併用には注意が必要です。まずは外用薬を使うと良いでしょう。
※痛みや腫れが強い場合、または症状が変わらない、続く場合には、整形外科医に相談して下さい。 - 痛みが引いたらウォーキング痛みが原因で安静にしていると膝が弱ってしまいます。歩くことで膝に自然な重みがかかり、膝の周りの骨を強化してくれます。ウォーキングは平地で行い、1回20〜30分を週2日以上おこなうと良いでしょう。
膝痛対策!膝の動きをよくする体操
この体操は膝のお皿「膝蓋骨(しつがいこつ)」に着目しておこなう体操です!
毎日おこなうと効果を発揮しますので、痛みのない範囲で焦らずゆっくりと継続してください♪
まとめ
- 高齢者の膝の痛みの主な原因は「変形性膝関節症」
- 女性でO脚の方は変形性膝関節症になりやすいので注意。
- まずは予防が大事。適正な体重をキープして、大腿四頭筋を鍛えよう!
- ストレッチを行い、膝に負担をかけず、関節軟骨を大事にしよう。
- 痛みがあり腫れているときは冷やす、慢性的な痛みは温める。
- 痛みや腫れが強い場合は整形外科医に相談してください。
変形性膝関節症を予防するためには、膝の周囲の筋肉、とくに太ももの前にある大腿四頭筋を鍛えることが大切です。また、膝関節の動きをよくするため、膝のストレッチも大切です。膝が痛まないよう、脂肪を落とし、筋肉をつけるように心掛けていきましょう!