脱水症は、水分が不足しがちな高齢者が気をつけたい症状の一つ。
本人も周囲も気づかないことが多く、気づかずに脱水状態に陥ることを「かくれ脱水」といいます。
初期段階で正しい処置を行わないと、重症化して命にかかわることがあるので、早めに気づき早めに対処することが大切です!
脱水症とは
飲食による水分補給が少なかったり、汗をかいたり、発熱・下痢などの体調不良によって水分が失われたりすることで、体内に必要な水分と塩分が足りなくなる状態が脱水症です。
脱水症の危険性
脱水は軽度でも放置すると、血管、内臓、脳などを正常に動かすのに必要な酸素や栄養素が体全体に行き渡らず、思わぬ病気につながり、命にかかわることがあります。
また、脱水症は、糖尿病や排尿障害などの病気の予兆である可能性もあるので、初期段階で気づき対処することが特に重要です。
脱水症の症状と対策
脱水症チェック
脱水症かな?と思ったら「脱水症チェック」を行い、一つでも当てはまればすぐに対処してください!
水分補給は経口補水液がおすすめ!
脱水症の場合、皮膚の水分が不足して、皮膚がもとに戻りにくくなります。3秒で戻らない場合、脱水症の疑いがあります。
脱水症になると、舌の表面に光沢がなく、赤黒く乾いた状態になります。 舌の表面が割れていたら、特に要注意!
指先は血管が細いので、変化が出やすい部分。親指の爪を押して、3秒で赤みが戻らない場合は脱水症の疑いがあります。
指先は血管が細く、水分が不足すると血流が悪くなり、指先が冷たくなるので、注意が必要です。
脇の下は湿っているのが普通ですが、脱水症になると湿り気がなくなります。乾燥している場合は注意が必要です。
尿の色で脱水状態をチェック!水分の摂取量が多いと体内の水分量を調節するために尿が増えて色が薄くなり、水分が少なければ尿量が減って濃い色になります。 ※朝起きた時の尿の色が濃いのは正常です。
水分損失率(対水分)と現れる脱水諸症状の関係
水分損失率 | 症状例 |
---|---|
1% | 大量の汗、喉の渇き |
2% | 強い乾き、めまい、吐き気、ぼんやりする、重苦しい、食欲減退、血液濃縮、尿量減少、血液濃度上昇 |
3% | 汗が出なくなる |
4% | 全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、いらいらする、疲労および嗜眠、感情鈍麻、吐き気、感情の不安定(精神不安定)、無関心 |
6% | 手足のふるえ、ふらつき、熱性抑鬱症、混迷、頭痛、熱性こんぱい、体温上昇、脈拍・呼吸の上昇 |
8% | 幻覚・呼吸困難、めまい、チアノーゼ、言語不明瞭、疲労困憊、精神錯乱 |
10~12% | 筋痙攣、ロンベルグ徴候(閉眼で平衡失調)、失神、舌の膨張、譫妄および興奮状態、不眠、循環不全、血液および血液減少、腎機能不全 |
15~17% | 皮膚がしなびてくる、飲み込み困難(嚥下不能)、目の前が暗くなる、目がくぼむ、排尿痛、聴力損失、皮膚の感覚鈍化、舌がしびれる、眼瞼硬直 |
18% | 皮膚のひび割れ、尿生成の停止 |
20% | 生命の危機、死亡 |
出典:水分損失率(対水分)と現れる脱水諸症状の関係、日本スポーツ協会、第5章スポーツと栄養、108ページ、表7
高齢者の脱水症対策まとめ
脱水症は少しのことに気をつけるだけで、防ぐことができます。
おかしいなと感じる前に、日常的にチェックをして脱水症にならないようにしましょう!