【高齢者の姿勢維持】老人性円背・猫背の予防と対策 - HOWAGROUP:医療 介護 福祉の豊和グループ

【高齢者の姿勢維持】老人性円背・猫背の予防と対策

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老人性円背・猫背の予防と対策画像01

高齢者は加齢による筋力の低下、関節軟骨のすり減り、長年の姿勢のクセによる猫背が老人性円背の原因です。

いつまでも姿勢良く、活力溢れる毎日を過ごすためにはどうすればいいか?
一番の予防は正しい姿勢を意識すること

すでに猫背や円背になっている人は放置すると、手術しないと治せなくなってしまうので、放置せずに姿勢改善に取り組んでいきましょう。

老人性円背とは

腰や背中が大きく曲がって丸くなり、猫背になっている状態のこと。
体のバランスを取るため、膝も曲がってしまいます。

円背姿勢

高齢者は筋力の低下や骨粗しょう症の影響によって、脊椎(せきつい)の骨や軟骨が変形したり、気付かぬうちに痛みもなく圧迫骨折をするなどして、腰が曲がっていきます。痛みが無いので、本人は単なる老化現象だと思うことがあるようです。

骨密度の減少率が男性よりも女性の方が大きいため、女性の方が老人性円背になりやすいと言われています。

円背になると起こる10個のリスク

円背になるとどんな問題が?

①転倒しやすくなる

身体のバランス能力が低下し、転倒しやすくなります。
骨折の可能性が高くなるので、注意が必要です。

②圧迫骨折しやすくなる

無理に背筋を伸ばそうとすると、骨折や脊椎損傷(せきついそんしょう)になることがあります。

③呼吸が難しくなる

肺などの器官が圧迫され、呼吸が難しくなります。酸欠状態になると筋肉の働きも悪くなるので、注意が必要です。

④誤嚥しやすくなる

前傾姿勢になるため、食べ物やだ液が気管に入りやすくなり、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。

⑤仰向けで寝れなくなる

背骨が曲がっているため、仰向けで寝ることができなくなり、寝返りも難しくなります。褥瘡(じょくそう)のリスクが高くなるので、注意が必要です。

⑥座るときに尻もちをつきやすくなる

筋力が落ちて背骨が曲がっていると、座る時に尻もちをつきやすくなります。尻もちの衝撃で圧迫骨折を起こすことがあるので注意が必要です。

⑦顔が下向きになり、視野が狭くなる

前方や頭上に障害物があっても気づかずに進み、ケガをすることがあります。

⑧足を上げる筋力が衰える

歩いたり立ち上がったりする日常生活動作に支障をきたします。

⑨手を高く上げられない

肩関節の動きが悪くなり、手を高く上げられなくなります。

⑩全身の不調につながる

背中以外にも様々な部位に負担がかかり、腰痛、膝痛、肩痛など全身の不調につながることがあります。

円背の予防と改善方法6選

①正しく座る

正しい座位姿勢

イスへの正しい座り方は、天井から吊られているようなイメージで、耳、肩、股関節が一直線になるように意識して座ります。

背もたれがあるイスや車いすに座り、背もたれと腰の間に隙間ができる場合は、クッションやタオルを置いて、隙間を埋めるようにしましょう。足の裏全体が地面についていない場合は、椅子を変えるか、足を乗せる台を置くなどして、足の裏全体を床につけるようにしてください。

正しく座ると、背中の緊張が軽減され、無理なく上体を起こすことができ、体幹の筋力も自然と鍛えることができます。しっかり頭を起こせるようになると、食事をするときに誤嚥も防ぐことができ、腕も使いやすくなります。

正しく立つ

正しい立位姿勢

耳、肩、股関節、膝関節、足首が横から見て真っ直ぐになるようにしてください。背中を伸ばし、下腹部に力を入れ、おしりの筋肉に力を入れて肛門を締めると自然と正しく立つことができます。

正しく歩く

正しい歩き方

数年前まで一般常識とされていた、かかとから着地して歩く方法は、歩く衝撃が全身に伝わり、かかと、膝、腰、首などを痛めやすいことがわかってきました。

現在の正しいとされる歩き方は、背中を伸ばし、前足はかかとから入りつつ、足裏全体で着地して、足先全体は意識せず自然と地面から離れるように歩きましょう
歩幅も無理して大きくしないようにしてください。

このような歩き方により無駄な筋肉を使わずにすみますので、体への負担を抑えることができます。

カルシウム、ビタミンD、マグネシウムを摂取する

カルシウム ビタミンD マグネシウム含む食品

骨粗しょう症、圧迫骨折、椎間板の損傷を防ぐために、食事の中でカルシウム、ビタミンD、マグネシウムを意識して摂取して骨を強くしましょう。

カルシウムを多く含む食品

乳製品、小魚

ビタミンDを多く含む食品

サケ、マグロ、サバなどの魚介類、バター、チーズ、きのこ

マグネシウムを多く含む食品

アーモンドなどのナッツ類、海藻類、大豆

補足

食べ物から摂ったカルシウムを骨に蓄えるためには、体を動かすことが必要です。体を動かしたときに来る足裏からの刺激は骨の新陳代謝を活発にし、骨へのカルシウムの定着を助けてくれます。

カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDは日光浴で作られるので、朝の散歩がおすすめ

食べ物から摂取するのが難しい方はサプリメントも活用しましょう。

運動する

円背を予防するには、肩周り、首周り、腰周りの筋肉をほぐし、腰と骨盤周辺を支える筋肉「腹筋、背筋、大腿筋(だいたいきん)、大胸筋」を鍛えるのも有効です。豊和グループが運営するYouTubeチャンネル「高齢者運動」から円背の予防・改善に効果のある運動を3つご紹介しますので、チャンネル登録をして毎日の運動に取り入れてみましょう!

【高齢者運動#8】座ったままできる体幹の運動

【高齢者の姿勢改善】寝たままできる腸腰筋トレーニング!〜猫背予防・ふらつき予防〜#48

【高齢者運動#46】猫背改善!ゴムバンド体操パート2!

サポート器具を使う

杖をつくおばあさん

杖や歩行器、シルバーカーなどの歩行補助具で良い姿勢を保つ

杖、歩行器、シルバーカーを使用すると脊椎への負担を減らすことができます。各器具のグリップに体重をかけると歩行時の安定性がアップし、転倒のリスクを軽減することができます。高さを間違えると逆に体に負担がかかるので、自分に合った高さについては、福祉用具の専門家に相談すると良いでしょう。

コルセットやサポーターを使う

正しい姿勢を保つために必要に応じて使用してください。座ったり、立ったりした時にかかる、脊椎への負担を軽減することができます。腰や背中が楽だからとコルセットやサポーターを使い続けると、本来コルセットの役割を担っている体幹筋(腹横筋)が落ちてしまうので、使い過ぎは禁物です。

背中や腰、骨盤をサポートする椅子を使う

背中が曲がってしまったお年寄りの骨盤と背骨を支え、楽な姿勢で座らせてくれる椅子もあります。正しい姿勢で座ることで、体への負担が減り、自然と座るのに必要な筋力も鍛えられます。

介護ベッドを使用する

起き上がりや立ち上がりを補助して、体に負担がかからないようにします。

柔らかいマットレスを使うと、背中が沈みさらに円背が進行するので

注意してください。

サポート器具はプロに相談するのが一番

サポート器具はプロの目線から、本人に合うものを選んでもらうようにしましょう。豊和グループが運営する「介護と福祉のお店ほうわ」があなたの状況をヒアリングし、最適な福祉用具を提案いたします。お気軽にご相談ください!
介護と福祉のお店ほうわのホームページはこちら

まとめ

  • 筋力低下、関節軟骨のすり減り、
     姿勢のクセによる猫背が老人性円背の原因
  • 一番の予防は正しい姿勢を意識すること
  • カルシウム、ビタミンD、マグネシウムを意識して摂取して骨を強くしよう
  • 運動の習慣化で筋肉をほぐし、腰と骨盤周辺を支える筋肉を鍛えよう
  • プロに相談してサポート器具も利用しよう

美しい姿勢の維持は健康寿命の延伸にも効果的。姿勢正しく過ごすと転倒や誤嚥性肺炎、椎骨(ついこつ)の圧迫骨折の予防にもつながります。このブログをきっかけにいつまでも健康で元気な人生を過ごしていきましょう!